「保険には、ダイヤモンドの輝きもなければ、パソコンの便利さもありません…」のナレーションではじまるニッセイのCMが秀逸だ。保険というカタチのとらえづらい商品にこれ以上ないくらいうまい光の当てかたをしている。
「保険には、ダイヤモンドの輝きもなければ、パソコンの便利さもありません…」のナレーションではじまるニッセイのCMが秀逸だ。
谷川俊太郎(むべなるかな、である。もしコピーライターの作品だったら、どれほど胆力のある人間であろうか)の詩は、保険というカタチのとらえづらい商品にこれ以上ないくらいうまい光の当てかたをしている。
BGMも、映画音楽の巨匠エンニオ・モリコーネのあの曲。このメロディを耳にして涙腺がゆるまずにいられようか。
しかも、果敢にもゴールデンの時間帯に60秒CMを流している。いまどき、30秒CMですらなかなかお目にかかれないご時世である。日本全国で、夕げどきの食卓の箸の動きを止めていることまちがいナシだ。ぎゃくに、家族と見ていると気まずくなるので放送をごカンベンねがいたいくらいである。
2004年度に放映されたCMのうちでもトップレベルに入る作品である。
CMには2つのバージョンがあるけれども、駅の改札を舞台に親子を定点観測しながら、流れゆく歳月のうつろいを切り取って見せる「改札編」がお気に入りです。■
(この記事は2005年3月に執筆されたものです)