どうしてもVUメーター付きのプリメインアンプがほしい! でも家電量販店に並んでいるのは高くて買えない! という方にオススメなのが1980年にテクニクスから発売されたSU-V44だ。秀逸でコンパクトなデザインはもちろん、ヤフオクなどで数多く出回っており、わずか1,000円台で手に入れることができるのだ。

オススメ理由1・コンパクトなサイズ

SU-V44は、昭和56(1981)年に発売された、ニュークラスA方式採用のプリメインアンプ。0.001Wの微小出力から100Wまで広範囲に直読できる左右独立の対数圧縮ピークパワーメーターを搭載している。

なぜこのSU-V44をおすすめするか。それは1つにコンパクトなサイズだ。フルサイズオーディオだから幅は40cm前後でどれも変わらないが、高さ12cmはVUメーター付きアンプとしてはかなりコンパクトな部類に入る。

ソニーのTA-F5で14.5cm、ヤマハのCA-2000は17cm、と今日びリビングに置くとかなりかさばる。

SONY TA-F5

SONY TA-F5(高さ14.5cm)

YAMAHA CA-2000

YAMAHA CA-2000(高さ17cm)

オススメ理由2・高級感ある仕上げ

SU-V44 VUメーター

SU-V44のVUメーターまわり。実際に見ると写真よりも、もっと美しい。

まず、左右のピークメーターを1つのアクリルパネル内に配置するというデザインもミニマルで美しく、他のアンプと比べると洗練の度合いが違う。

ブラックパネルを背後から光源で照らし、目盛りの数字を浮かび上がらせている。こういう処理はチューナーだと当たり前だが、VUメーターではあまり見ない。光源から漏れた光に、メーター針もほのかに浮かび上がる。

比較すると、下記は1976年ごろに発売されたTechnics SU-7700IIだが、VUメーターのデザインはまだまだ荒削りであることがわかると思う。

Technics SU-7700II

Technics SU-7700IIのVUメーターまわり

ソニーのTA-F5などは、黒い樹脂のケーシング付きのVUメーターで、いかにも「計測機器に使用しているパーツを持ってきました!」という感じ。高級感という意味ではいま一歩と言わざるを得ない。パイオニアの SA-7800IIなどもしかりだ。

Pioneer SA-7800II

Pioneer SA-7800II

また、当時のアンプはオーディオラックに収納することを前提にデザインされているので、上のSA-7800Ⅱも然りだが、筐体のサイズに比してフロントパネルが大きく、ツライチにはなっていない。側面から見たときにとても気になる。

Technics SU-7700II

Technics SU-7700IIを側面から見たところ。フロントパネルが筐体とツライチでないのが非常に気になる。

もちろん、SU-V44はフロントパネルと筐体サイズがピッタリだ。

SU-V44は筐体とフロントパネルが同じサイズで設計されているため、側面から見ても美しい。

オススメ理由3・昨今のアンプにも劣らない高音質

もちろん、見た目だけではない。

いくつかのアンプのスペックを比較した図を掲載する。先程も写真で紹介したほぼ同じ時期に発売されたテクニクスのSU-7700II、現在も販売されている2014年発売・MarantzのエントリーモデルPM5005、そして2000年代初頭のフラッグシップモデルPM-17SA Ver.2を比較したもので、筆者が購入を検討したモデルであるため恣意的な選択であることはお許し願いたい。

SU-V44はS/N比が若干見劣りするものの、全高調波歪率は本当にここまで測定したのかよ!というほどの少ない歪み率を実現している。出力帯域幅も広いといえるだろう。

メーカー Technics Technics Marantz Marantz
機種名 SU-V44 SU-7700II PM5005 PM-17SA ver.2
発売時期 1981 1977 2014/7 2002
希望小売価格 ¥55,800 ¥52,800 ¥32,500 ¥120,000
寸法 幅430×高さ120×奥行285mm 幅410×高さ142×奥行340mm 幅440×高さ105×奥行き370mm 幅458×高さ110×奥行429mm
重量 6.9kg 8.5kg 6.7 kg 16.0kg
消費電力 107W 155W 310W 180W
定格出力 60W+60W(8Ω、1kHz) 66W+66W(8Ω、1kHz) 55W + 55W (4Ω) 100W+100W(4Ω)
60W+60W(8Ω、20Hz〜20kHz) 80W+80W(6Ω)
40W + 40W (8Ω) 60W+60W(8Ω
全高調波歪率 0.009%(1kHz、定格出力時) 0.03%(20Hz〜20kHz) 0.01%(8Ω負荷時) 0.010%
混変調歪率(SMPTE) 0.03% 0.010%
出力帯域幅(8Ω負荷、0.04%) 5Hz〜30kHz 7Hz〜40kHz -3dB 10Hz〜30kHz 10Hz〜50kHz
周波数特性(CD、ソースダイレクト) 10Hz〜80kHz +0 -3dB Phono:RIAA標準カーブ ±0.2dB
Tuner、Aux:7Hz〜80kHz -3dB
10Hz〜50kHz +0dB、-1dB 5Hz〜70kHz +0 -1dB
ダンピングファクター(20Hz〜20kHz) 60(8Ω) 100
入力感度/インピーダンス Phono:2.5mV/47kΩ Phono MM:2.2mV/47kΩ Phono MM:2.4mV/47kΩ
Tuner、Aux:150mV/27kΩ LINE 200mV/20kΩ High Level:220mV/22kΩ
Phono最大許容入力(1kHz) 150mV 210mV MM:110mV MM:150mV
RIAA偏差(20Hz〜20kHz) ±0.5dB 20Hz〜20kHz ±0.2dB
S/N比(Aウェイト補正) Phono:72dB Phono:85dB Phono MM:83dB Phono MM:90dB
Tuner、Aux:95dB Tuner、Aux:97dB CD/LINE:103dB High Level:112dB
トーンコントロール Bass:±10dB(50Hz) Bass:±12dB(50Hz) Bass:±10dB(100Hz) Bass:±8dB(100Hz)
Treble:±10dB(20kHz) Treble:±12dB(20kHz) Treble:±10dB(10kHz) Treble:±8dB(10kHz)

実際の音質は、テクニクスらしく真面目な、硬質でカッチリとしたサウンドである。

オススメ理由4・数千円で程度の良いタマが手に入る

こんなSU-V44だが、なぜかヤフオクでは低価格で取引されており、平均落札価格は3,000円程度となっている(2019年6月〜9月)。出品件数も多い。

ヤフオク! -「Technics SU-V44 -ジャンク -チューナー」の落札相場・落札価格

私が手に入れたのは京都府から出品されたタマで、おそらく旧家の蔵であまり使われることなく眠っていたであろう個体(あくまで想像だが)。到着し次第、状態の確認に、ドキドキしながらフタを開けてみたが、コンデンサの液漏れ・・・を心配するどころかホコリもまったく積もっていない、ほぼ新古品かと見まごう極上のタマであった。

フタを開けたら1981年にタイムスリップ…というほどのきれいな内部

フタを開けたら1981年にタイムスリップ…というほどのきれいな内部

コンデンサも超キレイ!

コンデンサも超キレイ!

このように、音楽用のiPhoneとつないで使用している。また、Tuner出力はTVのサウンドアンプに使用している。サウンドバーよりもこちらのほうが絶対音質は良いはずだ。2chだが・・。

オーディオ初心者が、諭吉数枚をはたいて家電量販店でDENONやMarantzのエントリーモデルを買うくらいなら、ヤフオクで数千円でSU-V44を落としたほうが豊かなオーディオライフが待っている、と言っては言いすぎだろうが、VUメーター付きのプリメインアンプで価格、デザイン、音質、コンパクトさ、すべてを満たすのはSU-V44しかないという結論に至った。

なぜなら、1982年に発売された後継モデルのSU-V55は、80年代の流行りに流され、当時ハイソカーとして流行したトヨタソアラよろしく、VUメーターをデジタルメーター化してしまったからである…。

Technics SU-v55

後継のTechnics SU-v55は、VUメーターがデジタルとなってしまった。

今でも全く通用する美しいデザインだ。

今でも全く通用する美しいデザインと音質。やはりSU-V44は最高だ。

ヤフオク! -Technics SU-V44 -ジャンクの中古品・新品・未使用品一覧

※写真提供:オーディオの足跡